高学年向けの読み聞かせにおすすめの絵本を紹介します。記念すべき1冊目は、古典落語の演目:死神を題材にした、らくごえほん しにがみさんです。
あらすじ
お金に困って途方に暮れていた若い父親が、死神と出会うことから話は始まります。死神は男に仕事を世話してやるのですが、その仕事というのがなんとお医者さん。
重い病気の人には必ず死神が憑りついていて、枕元に死神が座っていればその病人は助からないが、足元に座っていれば病人は回復できるのだそう。
死神が足元に座っているときに、とある呪文を唱えて手をふたつたたくと、死神はいなくなり、病人もすぐに元気になるというのです。医者と言っても診断や治療をするのではなく、死神を消せば元気になる病人を見つけて呪文を唱えるだけ。
男は早速家に帰って、表に「いしゃ」と看板を出します。
すぐにお金持ちの屋敷に呼ばれ、臥せっている主人の足元に死神の姿を見つけます。言われた通りに呪文を唱えて手をたたくと、あっという間に死神は消え、何人もの医者が治せなかった主人は嘘のように元気になるのでした。
評判が評判を呼び、いつの間にか男は大金持ちになるのですが、大金を手にしたことで浪費三昧。もちろん、お金はあっという間になくなってしまいます。一度でも大金持ちになると、前の暮らしには戻れないのが人間と言うもの。
ふたたび医者の仕事を始めるのですが。。。
おすすめポイント1 怖い話
小学生は今も昔も怖い話が大好き。怖い怖いと言いながら、ついつい気になってしまうお年頃です。人気作家が手掛ける怪談絵本もシリーズが増えていますし、夏場には誰かしら読み聞かせをしています。
怖すぎる話だと低学年には読めませんが、高学年には刺激があってちょうどいいのかもしれません。
このらくごえほん しにがみさんも、出てくるのは死神だし、後半から雲行きが怪しくなってくる話の流れから、子供たちもどんどん話に引き込まれていきます。
おすすめポイント2 米津玄師
この本を高学年にすすめる一番の理由が、コレです。
絵本や本を読む前に内容や背景などを軽く説明することがあるのですが、この絵本を読む前には必ず、
LemonとかKICK BACKとか有名な曲がたくさんあるけど、みんなは米津玄師は好きですか?
と、聞くことにしています。
米津さんと言った瞬間、子供たちの表情が変わり、全員が耳を傾けてくれて話を聞く態勢に一瞬で変わります。今のところ百発百中のマジックワードです(笑)
米津玄師さんの最新アルバム「LOST CORNER」に、死神という曲が収録されていて、その名の通り、らくごえほん しにがみさん同様、落語の演目・死神を米津さんなりに表現された楽曲です。
落語にしろ絵本にしろ知っている人が聞けば一発で死神が題材と分かるし、物語のカギになる呪文が何度も繰り返し出てきて癖になる曲で、わたしも息子も大好きです。
前振りで米津さんの作品で絵本と同じ落語を題材にした死神という曲があること、その曲のMVもとても面白いことを話してから読み始めることで、しらけがちな高学年もしっかりと引き付けることができます。
もちろん、絵本の内容だけでもおすすめできる本ですが、簡単な説明をすることで本に興味がない子供でも注意を引くことができる数少ない本なので、高学年の読み聞かせで思ったほど聞いてくれなかった経験がある方にもおすすめです。
注意点
絵本とは言え落語なので、セリフの掛け合いがあります。話の内容から死神が話しているのか男が話しているのか理解はできますが、少し声色を変えたほうが聞く側には分かりやすいと思います。
もちろんプロのようにはできませんが、落語家気分で自分自身も楽しみながら読むといいですよ。
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